誰しも一度は見たことがある「歯車」は、精密な加工が求められる歯車加工により造られます。
本記事では、歯車加工とは何か、歯車の種類や加工・製造工程について解説します。
歯車加工とは、産業機械に欠かせない部品である歯車を切削加工などによって成形する加工のことを指します。
様々な形状同士の歯車が嚙み合わさることで機械を動かすことができますが、歯車の精度が低いと正常に動作する期間、いわゆる寿命が短くなってしまいます。
長い期間使用できるようにするためには、しっかりと精度の高い歯車を製作する必要があると言えます。
歯車には様々な種類がありますが、こちらではかさ歯車、はすば歯車、ひら歯車、ラック・ピニオンギア、ウォームホイール・ウォームギアについてご紹介していきます。
歯車と言われると想像するのが、ひら歯車だと言えます。
円形の歯車であるひら歯車はスプルーギアとも呼ばれており、シンプルな加工方法であることから幅広く使用されています。
ベベルギアとも呼ばれるかさ歯車は円すい形で、開いた傘のような形状をしているのが特徴です。
かさ歯車には、「すぐばかさ歯車」や「まがりばかさ歯車」など、歯の形状によって分類されます。
軸の異なるかさ歯車を組み合わせることで、回転運動を縦横に変換するために用いられます。
はすば歯車は、歯の形状がねじれた円形の歯車のことを指し、ヘリカルギアとも呼ばれています。
ひら歯車に比べて歯車同士の接触面が大きいことから、駆動力や静音性が高いといった特徴を持つため、部品にかかる負荷が大きい自動車などの部品として用いられます。
また、はすば歯車を組み合わせて歯の形状を山なりにした「やまば歯車」も存在します。
ラック・ピニオンギアは、円形ではなく棒状のラック型の歯車と、円形のひら歯車に似たピニオンギアを組み合わせたものを指します。
かさ歯車のように、歯車の回転運動を直線に変換することができます。
ねじ状のウォームギアと円形のウォームホイールを組み合わせたものを指します。
回転運動の減速などに用いられます。
歯切り加工とも呼ばれる歯車の加工の方法には「創成法」「成形法」の2種類があります。
他にも低コストで量産が可能な鋳造などの加工方法も用いられていますが、こちらでは「創成法」「成形法」についてご紹介します。
創成法は歯車状の切削工具を、歯車の元となる円形の加工物に押し付けるように削り取って、歯の溝を作っていく加工方法です。
精度が高く、生産効率も良いことから一般的に用いられている歯切り加工であると言えます。
成形法は歯車と同じ形状の切削工具を用いて、フライス盤やエンドミルにて加工を行います。
創成法に比べて精度が落ちますが量産が可能なため、コストを抑えることもできるでしょう。
歯車加工で使用する機械、「NC歯車加工機」と「歯切り盤」についてご紹介します。
NC歯車加工機は数値制御(NC)を搭載した加工機械のことを指し、縦、横、高さと言った数値をあらかじめ設定しておくことで自動的に加工してくれることから、効率よく高精度な加工を行うことができます。
加工物の素材や用途に合わせて、加工を行う刃の速度などの調整が可能です。
歯切り盤は円柱形の加工物を歯車の形状になるように切削する加工機械のことを指す総称です。
歯切り盤には「ホブ盤」「ギアシェーパ」「歯車研削盤」「傘歯車歯切り盤」「歯車シェービング盤」などがあります。
歯車の製造工程は以下のような流れとなっております。
それぞれ見ていきましょう。
1. 旋盤加工
2. 歯すじの成形
3. 熱処理
4. 研磨
加工物を固定して回転させながら、バイトと呼ばれる切削工具を押し当てるように旋盤加工を行います。
歯車の特長である歯すじはこの段階では、まだ付いていません。
ブローチ、歯切り・切削、面取り、シェービングなどの工程を経て、歯すじ部分の成形を行います。
ブローチ:歯車の内径部分に歯すじをつくる
歯切り・切削:歯車の外形部分に歯すじをつくる
面取り:端面部を削り取る
シェービング:精度を出す
加工物の性質を変化させるために熱処理を行いますが、そのほとんどは硬度を高めることが目的です。
加工物の仕上げを行う工程で、粗い加工面を滑らかにしていきます。
その後、完成した加工物を検査して、依頼通りの品質となっているか確認します。
本記事では、歯車加工とは何か、歯車の種類や加工・製造工程について解説しました。
歯車加工は歯車を切削加工などによって成形する加工方法のことを指し、かさ歯車、はすば歯車、ひら歯車、ラック・ピニオンギア、ウォームホイール・ウォームギアなど、種類は様々です。
エージェンシーアシストは歯車加工のご依頼も承っておりますので、お気軽にご相談ください。
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