製品開発や部品製作において、切削加工は欠かせない技術です。しかし、いざ業者に見積もりを依頼しようとする際に「何から伝えればいいのか」「見積もりの見方が分からない」「できるだけ費用を抑えたい」といったことを思う方も多いのではないでしょうか。
当記事では、切削加工の見積もりについて、初心者の方でも分かりやすいように解説します。見積もりを依頼する前に準備すべきことから、見積書の内訳、費用を抑えるための具体的なポイントまで、順を追って丁寧に説明しています。
見積もりはさまざまな要素によって費用が決まり、各企業が持つ設備・技術・経営方針などが異なるため、同じ図面であっても企業によって価格が異なることは十分にあり得ます。
切削加工の見積もりの内訳については、主に「材料費」「加工費」「熱処理・表面処理費用」の3種類があります。
材料費 | 材料費は、加工に使用する材料そのものの費用です。材料の種類・材質・形状(棒・板・塊など)・サイズなどによって価格が異なります。 |
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加工費 | 加工費は、材料を目的の形状に加工するためにかかる費用です。基本的には「加工費=加工チャージ費×加工工数(時間)」という式で表されます。加工チャージ費は、機械設備の稼働コストや作業者の人件費など、加工にかかる単位時間あたりの費用です。加工工数は、製品を加工するために必要な時間です。図面の形状・加工方法・機械の性能・作業者の熟練度などによって変動します。 |
熱処理・表面処理費用 | 熱処理・表面処理費用は、製品の強度向上や耐食性付与などを目的として、熱処理や表面処理を行う場合にかかる費用です。例えば表面処理費用の場合、めっき・塗装・研磨など、表面処理の種類によって費用が異なります。 |
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コストを抑えることは重要ですが、安さだけを追求すると、品質や納期の面で失敗をしてしまうケースがあります。そのため、見積もりを下げてもらえるよう努力はしつつ、提示された見積もりの内容をしっかりと見極めることも大切です。
以下では、切削加工の見積もりを安くしてもらうポイントを5つ紹介します。
相見積もりをとることは、基本中の基本です。複数の業者から見積もりを取ることで、価格の相場を把握し、適正価格を見極めやすくなります。2社だけでは比較検討の幅が狭いため、最低でも3社以上から見積もりを取ることをおすすめします。
また、単に総額を比較するだけでなく、材料費や加工費、熱処理・表面処理費用などの内訳を詳しく確認し、各項目の価格が妥当かどうかを判断することが重要です。
相見積もりの最大のメリットは、市場における適正な価格水準を把握できることです。1社だけの見積もりでは、その価格が妥当かどうか判断がつきにくいですが、複数の見積もりを比較することで、相場観を養い、不当に高い価格で購入してしまうリスクを避けられます。また、競争原理が働くため、業者側も価格を抑えようとするインセンティブが働き、結果的にコスト削減につながる可能性が高まります。
図面作成や材料手配を業者に依頼すると、費用が上乗せされます。
図面作成においては、自社で図面を作成することで、図面作成費用を削減できます。ただし、加工に必要な精度や情報が不足していると、後で修正が必要になり、かえってコストがかかる場合もあるため、注意が必要です。
また、材料を自社で調達することで、加工業者の材料費用を削減できます。ただし、少量の場合は、加工業者が材料の在庫を持っていて材料調達が不要だったり、加工業者が持つ材料の端材の中で対応できたりなどの理由で、業者経由の方が安くなる場合もあります。他にも、特殊な材料ではなく、汎用的な材料を使用することで、材料費を削減しやすくなるでしょう。
加工先の設備によって扱うデータは2D・3Dと異なります。3Dデータの使用をメインとしている加工業者の場合は、2Dデータのみの提供だと、2Dから3Dに変換し加工データを作成しなければなりません。そのため、2D・3Dどちらの場合でも、業者が取り扱っているデータを用意することで、変換費用を抑えられます。
株式会社エージェンシーアシストでは、2D・3Dどちらのデータも対応可能です。データ形式に悩むことなく、ご依頼していただけます。
各業者には、得意な加工方法、得意な材質、得意なロット数など、それぞれ特徴があります。各業者のウェブサイトやパンフレットなどで、得意分野を確認しましょう。例えば、ある業者は精密加工が得意で、別の業者は量産加工が得意といった具合です。また、どのような機械設備を保有しているか確認することで、対応可能な加工範囲や精度を判断できます。
納期に余裕を持って発注することでも、切削加工の見積もりを安く抑えられます。加工業者は、受注した案件をスケジュールに組み込んで生産を進めます。納期にゆとりがある場合、加工業者は効率的に設備や人員を割り当てることができ、追加コストを抑えることが可能です。そのため、見積もりの価格が低くなる傾向があります。
一方、短納期で依頼すると、他の案件を調整したり、時間外作業を増やしたりする必要が生じるため、追加費用が発生し、見積もり価格が高くなるケースが多いです。納期を計画的に設定し、可能な限り余裕を持たせることで、コストを抑えた見積もりを得ることができます。
見積もりをスムーズに依頼するためには、いくつかのことを事前に決めておく必要があります。事前に情報が整理されていることで、業者とのコミュニケーションがスムーズになり、正確な見積もりを迅速に得やすくなるでしょう。
以下では、見積もり依頼前に決めておくべきことを4つ解説します。
見積もりの根幹となる情報です。形状と大きさが不明確だと、業者は加工方法や必要な工数を正確に判断できず、正確な見積もりを出すことができません。
3Dデータの必要有無は前述の通り業者にもよりますが、2D図面だけでなく、3Dデータがあれば、業者は形状を立体的に把握できるため、より正確な見積もりを出してくれることが多い傾向にあります。
使用する材料の種類によって、加工方法・切削条件・使用する工具などが大きく異なり、加工コストに影響します。例えば、軟鋼は比較的容易に切削できますが、高硬度鋼やステンレス鋼は切削が難しく、時間とコストがかかる傾向です。材料自体の価格も異なりますが、加工難易度によって加工時間や工具費が変わるため、最終的なコストに影響を与えます。材質が事前に決まっていない場合は、業者との打ち合わせで決めるとよいでしょう。もしくは、いくつか候補の材料を挙げて見積もりすることも可能です。
一般的に、数量が多いほど、製品1個あたりの単価は安くなります。加工準備(プログラミング、機械の段取りなど)にかかる固定費用が、製造する個数で分散されるためです。しかし、少量生産を希望する場合、大ロットを得意とする企業に依頼すると、固定費の割合が高くなり、結果として単価が上がることがあります。
一方で、小ロットの生産に特化した企業に依頼すれば、少量生産でも無駄なく効率的に対応してもらえるため、コストを抑えた依頼が可能です。また、材料の調達や加工準備を柔軟に調整してもらえるため、リピート発注や特注品にも適しています。
加工業者は受注した仕事の納期に合わせて生産計画を立てています。事前に納期を正しく伝えることで、業者は自社の生産能力と照らし合わせて、対応可能かどうかを判断できます。
通常よりも短納期を希望する場合、業者が他の仕事を調整したり、残業や休日出勤などで対応したりする必要があるため、追加費用が発生することが一般的です。納期に余裕がある場合は、通常料金で対応してもらえるでしょう。
切削加工とは、切削工具を用いて金属などの素材を削り、目的の形状に成形する機械加工の一種です。除去加工に分類され、素材から不要な部分を削り取ることで製品を作り出します。
切削加工の見積もりを依頼する際は、適正価格での発注のために、複数の業者に相見積もりをするようにしましょう。また、見積もり確認時には、価格だけでなく、加工方法・納期、支払い条件など、費用の内訳も確認し、価格の妥当性をしっかりと判断することが大切です。
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