板状の金属素材に力を加えて変形させていく板金加工ですが、車に乗る方であれば自動車のへこみを修理する方法のことと理解されているかもしれません。
機械加工における板金加工とはどのような意味を持つのでしょうか。
本記事では、機械加工の分野における板金加工とは何か、分類や特徴、加工の工程について解説していきます。
機械加工の分野における「板金加工」とは、金属素材の板材を加工し、目的の加工物に仕上げる加工のことを指します。
板金加工は、機械加工のひとつである塑性加工に含まれる加工方法で、板金加工について知るためには、後述する「弾性変形」や「塑性変形」について知っておく必要があると言えるでしょう。
金属素材に荷重を加えると、ひずみを発生させながら変形していきますが、その際に内力と呼ばれる金属が元に戻ろうとする力が働きます。これを弾性変形と呼びます。
塑性変形は、金属素材に荷重を加え続け、降伏点と呼ばれる一定のポイントを超えたときに金属が戻らなくなることを指し、元に戻らなくなっても荷重を加え続けると、加工物が破断してしまいます。
板金加工で目的の形状にするためには、調整しながら加工する必要があり、技術を要する加工方法と言えるでしょう。
▼塑性加工についての紹介記事「塑性加工とは?加工の種類についてもご紹介」も併せてご覧ください。
板金加工は、手板金と機械板金の2つに分類されます。それぞれの特徴は以下のとおりです。
手板金はその名の通り、手作業によって成形していく加工方法です。
様々な形状、素材のハンマーや専用のハサミなどを用いて加工を行います。
加工物を一つひとつ成形していくため、大量生産には不向きですが、機械では困難とされる繊細な加工や自由度の高い加工を行うことができるといった特徴を持ちます。
機械板金は手板金とは異なり、手作業ではなく機械を使用して板金加工を行います。
タレパンと呼ばれる板金を打ち抜き加工する機械や、曲げ加工を行うベンダー、パンチやダイと呼ばれる上下金型などを用いて板金加工を行います。
ここまでに板金の特徴や分類についてご紹介しましたが、こちらでは板金加工の工程をご紹介します。
はじめに板金加工で成形する加工物の仕上がりに合うように切断加工や抜き加工を行うため、図面の展開を行います。
板金加工は曲げ加工を行う際に伸びが発生するため、伸びを考慮した展開図を書く必要があります。
展開した図面に合うように、タレパンとも呼ばれるタレットパンチプレスなどを用いて、板金を打ち抜いたり、切断したりと加工を行っていきます。
その他にもレーザー加工機を用いて、高速で外周を切断したり、大きな穴を高速で切り抜いたりします。
抜き加工や切断加工によって切断面にバリが発生するため、曲げ加工を行う前に取り除きます。
ヤスリやグラインダーなどを用いて手作業で削り取るか、サンドペーパーを回転させてバリを削り取るような機械で処理を行います。
また、必要に応じてタップ加工を行い、ねじ穴を加工しておきます。
切断、抜き加工を行い、前処理をした展開図通りの板金をプレスブレーキとも呼ばれるベンダーという機械を用いて、折り曲げる工程です。
パンチ・ダイと呼ばれる上下の金型で抑え込むようにして成形していきます。
中には曲げ加工した板金同士を接合する必要がありますが、そのような場合に用いられるのが溶接と呼ばれる加工方法です。
高温に加熱して接合する溶接の場合は、熱ひずみを起こすことがあるため、溶接加工を行う人の技術によって仕上がりが異なります。
溶接した後は加工部分に凹凸が残ったり、高温による加工で焼けが発生したりすることもあるため、ヤスリやグラインダーなどを用いて削り落とします。また、メッキや塗装などの表面処理もこの時点で行います。
完成品の出荷前検査を行います。
図面通りになっているかの寸法確認を行ったり、焼けなどの仕上げ処理に漏れが無いか目視確認を行ったりします。
エージェンシーアシストは、自社の品質管理センターにて加工品の検査を行ってから納品するため、安定した品質のご提供が可能です。
エージェンシーアシストの板金加工実績については、以下のページをご参照ください。
機械加工の分野における板金加工とは何か、分類や特徴、加工の工程について解説しました。
金属素材の板材を加工し、目的の加工物に仕上げる加工方法のことを言い、以下のような工程で板金加工を行います。
1. 図面展開
2. 抜き加工・切断加工
3. 前処理(バリ取り・タップ加工)
4. 曲げ加工
5. 溶接
6. 仕上げ
7. 検査
曲げ、溶接、仕上げといった加工を行う板金加工に対して、材料手配から加工や表面処理まで、多工程品でも一括で承りますので、お気軽にご相談ください。
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