設備保全や保守を担当している方より「設備の部品交換をしたいが、メーカーが生産中止していて必要な部品が入手できない」、「部品調達したくても、加工図面がない」「交換部品なので1つだけで良い」等お困りの声をよく聞きます。そういったお客様にマッチするサービス「リバースエンジニアリング」。
ただ、「既製品のコピーって違法にはならないの?」と疑問を持たれる方も多いのではないでしょうか。本記事ではリバースエンジニアリングに関して、わかりやすくご紹介します。図面のない部品手配にお困りの調達担当者の方は本記事をご活用ください。
リバースエンジニアリングとは、既成品の構造を分析し、製造方法や構成部品、技術情報を調査し明らかにすることで、ソフトウェア/ハードウェアの分野で用いられています。(直訳すると逆行工学となります。)
ソフトウェアの分野で用いられる場合、他社が開発した製品やソフトウェアを分析し、プログラムファイルの解析やソースコードなど様々な仕様を明らかにすることを指します。自社製品や互換性のある製品の開発に役立てられたりするほか、脆弱性を確認しセキュリティ対策を目的に行われることもあります。
一方、ハードウェア・製造業の分野で用いられるリバースエンジニアリングは、機械を分解し構造を明らかにしたり、部品そのものを分析し図面化したりすることを指します。一般的に、部品を加工するためにはCADなどで設計された「図面」が必要となります。図面の中には、材料の種類から形状、寸法、幾何公差など、部品を加工するために必要な情報が記載されています。リバースエンジニアリングは、そういった設計図面がない製品を分析し、設計手法を明らかにし、図面化することやその図面を基に部品加工を行うことを言います。
既製品を分析し、同じものを製作することに関して法的に問題ないのか、と心配になるかと思います。結論から言うと、リバースエンジニアリングという行為そのものは合法として認められています。ただし、場合よっては特許法や意匠権などの知的財産権に抵触する可能性があるので、関係する法律について理解が必要です。
特許件 | 特許法とは、発明の保護と利用を図ることにより、発明を促し、産業の発明に貢献することを目的とする法律です。特許権が存在する=保護対象となる「発明」が含まれる部品をリバースエンジニアリングすると特許法に抵触します。 |
実用新案権 | 実用新案権とは、物品の形状、構造又は組み合わせに係る「考案」を保護する権利です。自然法則を利用した技術的思想の創作を指し、特許ほど高度な発明である必要はありません。この権利が含まれる部品をリバースエンジニアリングすると知的財産権に抵触します。 |
意匠権 | 意匠権とは、物品や建築物、画像に関する意匠(デザイン)を保護する知的財産権です。意匠権は見た目を保護する権利であり、模倣品の製造・販売を目的としたリバースエンジニアリングは法律に抵触します。 |
不正競争防止法 | 不正競争防止法とは、事業者間の公正な競争を維持することを図るための法律です。正規ルートで入手した製品をリバースエンジニアリングすることは問題ありませんが、世の中に出ていない製品や不正に入手した製品をリバースエンジニアリングすることは、法律に抵触します。 |
著作権とは、著作物を保護する権利です。著作物は、思想または感情を創作的に表現したものであり、文芸、学術、美術又は音楽の範囲に属するものを指します。
「工業製品」は思想や感情を表現するものに該当せず、また設計図があれば別の誰かが同様に製作できるものであるため、創作的とも言い難いです。また、文芸、学術、美術または音楽の範囲に属さないので、著作物に該当しません。(例外として、ソフトウェアには著作権が存在します。ソースコードは著作物として取り扱われ、コピー等すると著作権法に抵触します。)
もし、工業製品を守る必要があるなら、上記のような特許権や意匠権を取得する必要があります。
リバースエンジニアリングを実施するためには、権利について理解し、実施後の製造責任を持つ必要があります。弊社エージェンシーアシストにおきましても、リバースエンジニアリングを実施する製品については上記権利に抵触していないものに限りご対応させていただきます。
既存製品のスペアが必要となった際、図面が手元になかったり、製作していた加工屋が廃業していたりして、手配に困るケースがあります。その場合でも、リバースエンジニアリングを用いることで、必要部品を製造し手配することが可能になります。
通常の製品開発では、トライアル&エラーを繰り返し、製品化を目指しますが、リバースエンジニアリングを用いれば、既存技術を参考にして開発するため、開発にかかる時間やコストを削減できます。
例えば既存製品の問題点として、軽量化の必要性や耐摩耗性の向上が求められた場合、リバースエンジニアリングを実施する際に材質を変えたりすることで製品の質を向上させることができます。
ここからは、弊社エージェンシーアシストにおけるリバースエンジニアリングの手順を簡単にご紹介します。
製品現物をお預かりし、弊社保有の三次元測定機等で形状測定を行います。
スキャンデータから各種寸法や公差等の数値出しを行います。
加工手配ができるよう、図面化を行います。
必要に応じて、作成した図面をもとに部品の加工手配を行います。
加工部品調達実績30年以上の株式会社エージェンシーアシストなら、アルミ・ステンレス・鉄・銅・樹脂・ゴム等幅広い材質と加工に対応しています。
また、納品前には弊社品質管理センターで図面通りに加工されているか検査をし品質を保証いたします。
図面が無い部品の手配も可能となる、リバースエンジニアリング。便利ではありますが、リバースエンジニアリングを実施する場合は、権利侵害をしていないこと、実施後の製造責任を持つことが大切です。
エージェンシーアシストにおいても、実施前にはお打合せをさせていただきます。著作権、法律上、公序良俗の面から問題がありそうなご依頼品、その他、弊社が対応不可と判断した内容については計測をお断りする場合がございますので、ご了承ください。
図面が無い部品の手配にお困りの際は、お気軽にエージェンシーアシストへご相談ください。
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