機械加工とは、工作機械や切削工具を用いて材料(金属やプラスチックなど)を目的の形状に加工することを指します。
様々な形状のものを高精度で作り出すことができるところが特徴です。
製作する形状に応じて、加工方法や用いられる工作機械が異なります。
今回の記事では、機械加工の主な加工方法と工作機械の種類についてまとめました。
金属加工とは、製品や部品などを作る際に金属を素材に用いて行う加工作業全般を指します。
金属加工という言葉の意味に含まれる加工作業全般とは、形を作ったり削ったりする加工や磨き上げる加工、強度を上げるための加工などがあります。
大きく分けると、形を作る金属加工と性質を変える金属加工の2つに分けることができます。
また、より細分化したものが「除去加工」「成型加工」「付加加工」となります。
ここからは「除去加工」「成型加工」「付加加工」、それぞれの意味と種類についてご紹介します。
除去加工とは、金属から不要な要素を取り除いて形作る金属加工のことを指します。
ここでは、除去加工の種類について説明します。
切削加工とは、切削工具を用いて金属などの材料を切ったり削ったりして、目的の形状へ加工する技術です。
古くから日本の製造業で行われている加工技術の一つです。
旋盤加工とは、回転させた材料に「バイト」などと呼ばれる切削工具を押し当て外周を削ったり、穴をあけたりして加工する方法です。
旋盤加工では、丸棒などの材料を回転させて切削するため、加工された製品は回転体の形状をしており、その形状から「丸物(まるもの)」と呼ばれます。
フライス加工とは、「正面フライス」や「エンドミル」などと呼ばれる切削工具を高速回転させて材料へ押し当て、加工する方法です。
フライス加工では、旋盤加工とは異なり、切削工具が回転し、材料が固定されているテーブルを動かして加工します。
面加工を行うため、加工された製品は基本的に四角い形状をしており、その形状から「角物(かくもの)」と呼ばれます。
研削加工とは、砥石(といし)を高速回転させ、材料の表面を削る加工技術です。
砥石の表面は砥粒(とりゅう)と呼ばれる硬くて小さい粒からできており、砥粒の一つ一つが刃となって材料を削ります。
砥粒の材料にはダイヤモンドや炭化ケイ素などが使用されています。
研磨とは、より微細で硬度の高い砥石を用いて、材料の表面を少量ずつ削り、滑らかな状態へ加工する技術です。
表面の凹凸を少なくし、光沢のある状態へ仕上げることができるため、外観・美観の向上が適うだけではなく、製品精度・強度の向上、サビや汚れの付着防止などあらゆる観点から研磨加工が施されます。
放電加工とは、放電現象を利用した加工方法で、電極と加工物の間に発生させるアーク放電の熱によって溶かしながら加工を行います。
電極の形状を加工物に転写して加工する「型彫り放電加工」と細いワイヤ状の電極を使用して金属を切断する「ワイヤ放電加工」の2種類に大きく分けることができます。
放電加工は加工物である金属の硬度に左右されずに加工することができるといった特徴を持っていることから、研削加工などでは加工し辛い高硬度材の穴あけや彫刻のように溝を切り出すことも可能です。
成型加工とは、金属を成型させる加工のことを指します。
ここでは、成型加工の種類について説明します。
塑性加工とは、金属に力を加えて変形させることで形状を作る加工で、塑性という一定の力によって変形した形を維持する性質を利用したものです。
塑性加工の一部をご紹介します。
プレス加工とは、板状の加工物に型を押し当てて成形したり、切断したりする加工方法です。
加工方法として代表的なものには、「せん断加工」「曲げ加工」「絞り加工」などがあります。
適切な長さに切断やプレスした鉄板を溶接し、自動車のドアや天井といった部品が製造されたり、アルミ缶などは絞り成形と呼ばれるプレス加工の一つで製造されています。
鍛造とは、加工物の強度を高めるために叩いて圧力を加えて、成形する加工方法です。金属を叩くことで、素材内部の隙間がつぶされて結晶が整うことで強度が高まります。
この加工方法は日本刀や火縄銃などにも用いられていたことから、鍛造は古い歴史を持っていることが分かります。
鍛造には加工方法の違いによって、自由鍛造、ハンマ型鍛造、プレス型鍛造に分類されます。
転造とは、変形させても元に戻らない塑性という性質を利用して、ダイスと呼ばれる工具を押し当てて、盛り上げるように成形する加工方法です。
主にボルトやねじ類に用いられているのが転造です。
鋳造とは、型に溶かした金属を流し込み、冷やし固めて成形する加工方法で、その歴史は最も古いとも言われています。
鋳造によって作られたものを鋳物と言い、製品の形をした型のことを鋳型と言います。
鋳型は繰り返し使うことが可能で、比較的安価に加工できることから、大量生産にも向いていますが、肉厚を厚くするといった強度の対策が製品によっては必要です。
付加加工とは、加工物に別の材料を付け加える加工のことを指します。
代表的なものとして、ペンキ塗装やメッキ処理といった被覆加工や溶接などの接合加工があります。
ここでは、付加加工の種類について説明します。
積層造形とは、3Dデジタルモデルを元に材料を付け加えて目的の形に成形する加工方法です。
最近注目されている3Dプリンターなどでも用いられています。
実際に3Dプリンターで成形された部品も流通しつつありますが、さまざまな課題があるとも言われています。
被覆加工の中でも特に活用されているのがメッキ処理です。
メッキ処理は加工物である金属の表面に、電気メッキや無電解メッキなどといった工法を用いて、薄い膜をコーティングして強度や耐久性を高めます。
時計やスプーンといった一般家庭用の物や工業用の部品まで、メッキ処理はさまざまな物に用いられています。
接合加工とは、部品同士を接合して形作る加工方法です。
溶接やハンダ付けといった材料的接合やねじで固定する機械的接合などがあります。
熱処理とは、高温で金属を加熱・冷却することにより金属の性質を変えたり、成形したりする加工方法です。
熱処理の方法として代表的なものと言えば、「焼入れ」「焼戻し」「焼ならし」「焼なまし」です。
これらの熱処理方法を用いて、金属を硬くしたり、軟らかくしたりします。
「焼なまし」で加工しやすくするために金属を軟らかくして加工ムラや割れを防ぎ、「焼ならし」では金属組織のムラを均一化して耐衝撃性などの性質向上を図ります。
「焼入れ」で金属を硬くしますが、脆く割れやすくなってしまうため、「焼戻し」で硬度を弱めて粘り気を増加させ、適した硬さに調節して耐衝撃性を高めます。
また、焼入れには、「真空焼入れ」「浸炭焼入れ」「高周波焼入れ」といった代表的なものから、「ズブ焼入れ」「表面焼入れ」「窒化焼入れ」といったものまで数種類の方法があります。
日本刀をはじめ、自動車や航空機の部品など、幅広く用いられているのが熱処理という加工方法です。
熱入れの種類ごとの説明や熱処理の基礎について、以下の記事でより詳しくご紹介していますので、ぜひご参考ください。
熱処理の基礎知識│焼入れの種類や性質を解説
工作機械の種類と加工方法
ここでは、主な工作機械の種類と加工方法について説明します。
(以下、一般社団法人 日本工作機械工業会 ホームページより引用)
旋盤 | 工作機械の中で数多く用いられている代表的な機種の一つで、一般に円筒または円盤状の工作物を回転させて加工する機械です。この機械により行う加工には、外丸削り、面削り、テーパ削り、中ぐり、穴あけ、突切り、ねじ切りなどがあります。 |
---|---|
ボール盤 | ドリル工具を回転させて穴あけ加工を行う機械で、リーマ仕上げ、ねじ立てなどの加工も行うことができます。 |
中ぐり盤 | ドリル工具などであけられた穴の内面を、より精度よく、所定の大きさに加工(中ぐり加工)する機械で、他にドリル加工、フライス加工などもできます。 |
フライス盤 | フライス工具と呼ばれる工具を回転させ平面、曲面、みぞなどを加工する機械です。加工に用いる工具には、正面フライス、エンドミル、みぞフライスなど多くの種類があります。 |
研削盤 | バイト、フライス工具などの切削工具の代わりに砥石車を用いて加工する機械で、加工精度がよく、切削加工より優れた仕上げ面が得られるという特長を持っています。 |
歯切り盤 | ホブカッタ、ピニオンカッタ、ラックカッタと呼ばれる工具を用いて歯切り加工をする機械です。 |
マシニングセンタ | 中ぐり、フライス削り、穴あけ、ねじ立て、リーマ仕上げなど多種類の加工を連続で行えるNC工作機械で、それぞれの加工に必要な工具を自動で交換できる機能を備えています。機械の軸構成によって横形、立て形、門形など各種のマシニングセンタが使われています。近年では、直交3軸と旋回2軸とを同時に制御することで、更なる複雑形状の加工を可能にする「5軸制御マシニングセンタ」の普及が進んでいます。 |
ターニングセンタ | 旋盤を複合化したNC工作機械です。NC旋盤の機能をより高め、多くの工具を備え、旋削加工の他に工具を自動で交換できる回転工具主軸を持ち、フライス削り、穴あけ等の加工も行うことができます。更に、旋回(割出し)しながら加工が可能な回転工具主軸を備える機械を特に「(旋盤形)複合加工機」と呼び、近年急速に普及が進んで います。 |
放電加工機 | 電気による放電エネルギーを利用して加工を行う機械で、放電を行う電極の形状により形彫り放電加工機とワイヤ放電加工機に分けられます。その他、レーザのエネルギーを利用して切断、穴あけなどをする「レーザ加工機」や、工作物と超音波で振動する工具との間に、と粒や加工液を入れ、工具を工作物に押し付けながら除去加工する「超音波加工機」などを含め、特殊加工機と総称しています。 |
出典元:一般社団法人 日本工作機械工業会
(引用ここまで)
まとめ:機械加工部品の一括手配が可能です
今回の記事では、機械加工における加工方法や工作機械の種類についてご説明しました。
目的の形状・精度に応じて、加工方法や使用する工作機械が異なります。
そのため、部品ごとに手配先を変える必要が生じたり、表面処理などの加工工程が増えると、工程管理が複雑になったりします。
部品の手配先をお探しの場合や業務の効率化を図りたい場合は、多品種の機械加工部品が一括手配できる「エージェンシーアシスト」にぜひご相談ください。
エージェンシーアシストは、材料の手配から加工、表面処理まで含めて一社購買で調達します。
部品1個からの多品種小ロットで対応が可能です。
さらに、社内の品質管理部門で検査済みの製品をお届けします。
エージェンシーアシストの金属・アルミ・ステンレスの加工実績はこちら(フライス・旋盤・板金・樹脂など幅広く対応しています。)
お見積り無料!お気軽にご相談ください。
最新記事
人気記事