身の回りにあるアルミ製品といえば、1円硬貨やアルミ缶、アルミ箔などが思い浮かぶかと思います。軽さや錆びにくさ、食品に触れても無害であるアルミは、さまざまな用途で使用されています。
ただし、身の回りにあるアルミ製品のほとんどは、アルミニウムにほかの金属を加えた合金であり、純度100%で使用されているのは1円硬貨ぐらいで大変希少です。
今回の記事では、身近にある軽い金属 アルミニウムについてご紹介します。
そもそもアルミ(アルミニウム)とはどういったものなのでしょうか。
アルミニウムは、酸化アルミニウムを主な成分とする赤褐色の鉱石 ボーキサイトから製錬されます。
原料となるボーキサイトから酸化アルミニウムを抽出し、それらを電気分解することでアルミニウムだけを取り出します。そして、圧延や押出、鋳造などの加工を行い製品素材へ成形します。
さまざまな化合物として鉱物や土壌に紛れていたアルミニウムが金属として発見されたのは、1800年代。紀元前に発見された銅や鉄などと比べて、アルミニウムはわずか200年ほどしか経っていません。
アルミニウムは、金属の中でも軽く、非常に柔らかい性質を持っていますが、用途によっては強度が不十分である場合があります。
そんな純アルミの弱点を補うために、銅やマンガン、ケイ素やマグネシウムなどのほかの金属を加えることで強度を高めつつ軽い金属 アルミニウム合金が作られます。
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ここでは、アルミの主な特徴をまとめました。
アルミニウムの比重は2.7。 鉄(7.8)や銅(8.9)に比べると約3分の1です。その軽さを活かして、自動車や鉄道車両、飛行機などにおける燃費・性能向上に貢献したり、部品の作動効率を高めることができたりします。
アルミニウムは、空気中ではステンレスと同様に酸化皮膜を形成するため、錆の発生や腐食を防ぎます。この優れた耐食性を活かし、建築や自動車、海洋開発などの分野で活躍しています。
アルミニウムの電気伝導率は、銅と比較すると銅より劣るものの、比重が約3分の1のため、同じ重さの銅と比べると2倍の電流を通すことができます。この特性を活かし、送電線や配電線に採用されています。
アルミニウムの熱伝導率は、鉄の約3倍。熱しやすく冷めやすい、放熱性にも優れているため、エンジンパーツや冷暖房装置、放熱フィン、ヒートシンクなどに用いられています。
アルミニウムは、非磁性体で磁気を帯びません。磁場に影響されない特性から、電子医療機器やメカトロニクス機器製品など様々な製品に用いられています。
アルミニウムは毒性がなく、無害・無臭で衛生的です。重金属のように人体を害したり、土壌をいためたりしないため、食品や医薬品の包装、飲料缶、医療機器や家庭用器物などで広く活用されています。
純度が高いアルミニウムは反射性に優れ、光や熱、電磁波を反射します。この特性を活かし、照明器具や暖房器の反射板、レーザープリンターや宇宙服に使用されています。
アルミニウムは、ほかの金属に比べて簡単に再生できるうえ、品質も落ちません。そのため、省エネやリサイクルに貢献します。
身の回りで実用化されているアルミニウムは純度99.0%以上のものが純アルミニウムと呼ばれていますが、強度や性能を高めるためにほかの金属を混ぜ合わせた「アルミニウム合金」が非常に多く使用されています。
「アルミニウム合金」は、加える金属元素の種類によって4桁の数字で分類され、「番号」で表記されるのが一般的です。
以下では、「アルミニウム合金」の種類と特徴をまとめました。
番手 | 化合物 | 特徴 | 用途 |
---|---|---|---|
1000番台 (例:A1100、A1070、A1050) |
純アルミニウム | 純度が99.0%以上。アルミ純度が高いため、加工性、耐食性、熱伝導性に優れているが、強度が低いため切削加工には注意が必要。 | 1円硬貨、反射板、照明器具、放熱材、強度が要求されない家庭用品など |
2000番台 (例:A2017、A2024) |
アルミニウム+銅 | 銅(Cu)を加えた合金。強度が高く、切削性に優れる。熱処理を施した、ジュラルミン(A2017)や超ジュラルミン(A2024)は、鋼材に匹敵する強度を持つ。銅を含むため、耐食性はやや劣る。 | 航空機部品、光学機械部品、自動車部品、ねじ・ギア部品など |
3000番台 (例:A3003) |
アルミニウム+マンガン | マンガン(Mn)を加えた合金。純アルミの耐食性を低下させず強度を若干上げたもの。さらにマグネシウム(Mg)を加えることで強度が増す。 | 一般器物、建築用材、屋根材、アルミ缶など |
4000番台 (例:A4032) |
アルミニウム+ケイ素シリコン | シリコン(Si)を加えた合金。耐摩耗性や耐熱性に優れ、熱膨張を抑える。 | ピストン、シリンダーヘッドなど |
5000番台 (例:A5052、A5056、A5083) |
アルミニウム+マグネシウム | マグネシウム(Mg)を加えた合金。強度が高く、耐食性や溶接性に優れる。加工性も良く切削材料として主流である。非熱処理型のアルミ合金の中で最も強度の高い種類が含まれる。 | 調理器具、燃料タンク、船舶用材、圧力容器など |
6000番台 (例:A6061、A6063) |
アルミニウム+マグネシウム+ケイ素シリコン | マグネシウム(Mg)とシリコン(Si)を加えた合金。中程度の強度を持ち、耐食性にも優れるため、構造材料に用いられることが多い。押出加工性にも優れる。 | 建築用サッシ、車両・船舶などの輸送構造材、光学機器など |
7000番台 (例:A7075) |
アルミニウム+亜鉛+マグネシウム | 亜鉛(Zn)とマグネシウム(Mg)を加えた合金。熱処理を施すことで強化が増し、日本で開発された超々ジュラルミン(A7075)は現存するアルミ合金の中で、最も高い強度を誇る。 | 航空機用材、スポーツ用具、車軸など |
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今回の記事では、アルミ(アルミニウム)の特徴と種類を詳しくご紹介しました。
アルミニウムの特性を高めるために製造されるアルミニウム合金ですが、熱処理やアルマイト処理をすることで、さらに強度や耐食性を向上させることが可能です。また表面処理を施し光沢を出したり、着色したりすることも可能であるため、建築外装や包装材などデザイン性が求められるところでも幅広く活用される金属です。
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